皆さんこんにちは。大阪府大阪市を拠点に、機械器具設置工事・配管工事・製缶工事を手掛けている株式会社大阪太平クリエイトです。
溶接といえば、金属同士を接合するために、マスクをつけて火花をあげている姿を想像する方も多いと思われます。確かにイメージされているその姿は最も一般的な溶接方法といえます。しかし、それ以外にも作業場所や接合する材料、使用する場所によって、溶接方法は多くあります。
製缶工事においても溶接は重要な工程です。
製缶工事とは、鉄板などの金属を切断、溶接加工してタンクや機械装置を作ることです。鉄板から立体的な製品を作る工程は大きく分けて、切断曲げ加工、溶接、穴あけ加工、機械加工、研磨加工、表面処理からなっています。
その中でも溶接は小さなミスや少しの隙間が、製品自体の崩壊や配管からの漏れを引き起こすなど、大事故につながる可能性もあり、技術に差が出やすいといわれています。
溶接とは、どんな種類があるのか、それぞれの仕組みや特徴、最適な溶接方法の選び方といった基本的な情報について紹介します。
■溶接が必要な理由
溶接は、製造業や建設業において欠かせない作業です。機械部品の製造や加工には、金属部品同士を接合する技術が駆使されています。溶接で加工された製品は私たちの身の回りにあふれています。自動車や鉄道車両、航空機、建築物、建築機械など数々の金属構造物の全てに溶接技術が使われています。
特に、高圧ガスや危険な液体を扱う場合には、不良な溶接を行うと漏れが生じることで重大な事故につながることがあります。
・溶接とは
溶接とは、「金属に電気やガスの熱を加えて溶かして接合すること」です。金属は、加熱、または加圧して融点に達すると溶け始めます。接着と違い、接合箇所が分子レベルで完全に一体化するため、高い強度を保つことができます。
・溶接の種類と特徴
溶接は、接合方法によって以下の3種類に分類されます。
① 融接法
② 圧接法
③ ろう接法
それぞれの特徴とどんなところで利用されているのかについて紹介します。
① 融接法
融接法は、母材と溶加材の両方、またはどちらか片方を溶かして溶接する方法で、最も広く使われています。
・アーク溶接
アーク溶接は、融接法の中でも代表的な方法です。
火花が散るアーク放電現象による熱を利用して母材を溶融する方法です。
溶接の際、金属が空気に触れると溶けた金属が参加や窒化を起こしてしまい、接合不良の原因となります。接合部分を空気に触れさせないためにアルゴンやヘリウムといった不活性ガスをシールドガスとして使います。
アーク溶接は、シールドガスの種類や電極の素材によって、更に細かく分けられます。
∟TIG(ティグ)溶接・・・アルゴンなどの不活性ガスを使用する非溶極式の方法です。
∟MIG(ミグ)溶接・・・アルゴンなどの不活性ガスを使用します。
∟MAG(マグ)溶接・・・シールドガスに不活性ガスと炭酸ガスを混ぜて使用します。
炭酸ガスを混ぜることでアークを上乗せできます。エネルギーを集中させられるのでMIG溶接よりも深い溶け込みが得られます。炭酸ガスに化学反応を起こしてしまう金属では使用することができません。
・ガス溶接
ガス溶接は、可燃性のガスを燃焼した時に発生する熱を使って母材を溶融させる方法です。溶接個所がみやすく作業しやすいですが、温度が低いため溶けるまでに時間がかかります。融点の低い金属や薄い母材の溶接に利用されています。
その他、レーザー溶接、電子ビーム溶接などの方法があります。
② 圧接法
圧接法とは、材料の接合部を摩耗や爆発によって加熱し、圧力を加えて接合する方法です。
・ガス圧接・・・母材の接合面を押し付けてガスと酸素で加熱します。加熱して押し付けられた接合面の不純物が押し出されて接合されます。作業が簡易で強度が強いため、鉄骨造の建築物の接合に広く使われています。
・摩擦圧接・・・母材を高速ですり合わせ、その時発生する摩擦熱によって母材自体を軟化させたところに圧力を加えて接合する方法です。摩擦熱以外の熱源を使用せず、スパッタやガスも発生しないため環境にやさしい溶接といわれています。
その他、抵抗溶接、拡散接合、超音波圧接、爆発圧接などの方法があります。
③ ろう接法
ろう接法とは、母材を溶かさず、溶かした溶加材を接着剤のように使って母材を接合する方法です。母材に熱を加えないので、母材を傷つけずに接合することができます。
ちなみに、DIYでも行われる「はんだ付け」もろう接の一種です。
気密性が必要なパイプ、バルブ、コネクター、容器や耐熱性、耐食性が必要な自動車やバイクの部品の溶接に利用されています。
■TIG溶接とMIG溶接の違い
ステンレスやアルミといった非鉄金属の溶接が可能な方法にはTIG溶接とMIG溶接があります。この2つは、シールドガスに不活性ガスを利用する点や、他の溶接方法に比べて仕上がりが美しいといった共通点があります。2つの溶接方法の違いについて解説します。
・TIG溶接
TIG(ティグ)とはTungsten Inert Gas の略です。TIG溶接は非溶融電極式です。電極棒には、タングステンが使われています。タングステンは融点が3380℃と金属の中で最も高いので、電極を溶かすことなく接合することができます。仕上がりが滑らかなため、車やバイクの溶接に使われています。
【メリット】
・精密な溶接が可能・・・手動で行うため、複雑な形状も対応できます。薄板の溶接も羹の溶接や肉盛りも容易にできます。
・きれいな溶接・・・母材の溶接部の視野を確保できるので、複雑な形状でも注意してみながら作業が可能です。溶接速度が遅いので丁寧な作業が可能で美しい仕上がりが期待できます。
・電極の消耗が少ない・・・長時間連続して溶接可能です。
【デメリット】
・手動で行う・・・手作業で行う方法のため、作業の熟練度によって仕上がりに差が出る場合があります。ローリング、浮かし、溶加棒の送り方といった技術の習得が必要です。
・時間がかかる・・・溶接速度が遅く、大量生産や短時間での仕上げは困難です。
・MIG溶接
MIG(ミグ)はMetal Inert Gas Weldingの略です。MIG溶接は、溶融電極式です。溶接トーチは作業者が動かしますが、溶接棒は自動で供給されるため、半自動溶接と呼ばれています。作業性がよいため、建築現場や大型車両のメンテナンスに利用されています。
【メリット】
・作業効率が高い・・・溶加材が送給ローラーで自動的に母材に送り込まれる半自動溶接です。溶接速度が速く、溶接による歪みが出づらいのが特徴です。また片手で作業ができるため、生産性が高く、他の溶接方法に比べて作業の難易度が高くありません。
【デメリット】
・スパッタが多い・・・溶接時に表面に残る細かいぶつぶつをスパッタといいます。溶接が終わった後にタガネで取り除く必要があります。
■溶接の選び方のポイント
溶接にはそれぞれの特徴があり、使い分けが必要です。母材の材質や作業場所の状況などに合わせて最適な溶接方法を選びましょう。
溶接を業者に依頼する場合は、業者によって取り扱っている方法が異なるため、希望する工法が選択できない場合もあります。依頼前に施工可能な方法について確認が必要です。
作業場所による選び方
・屋外作業の場合・・・被膜アーク溶接やセルフシールドアーク溶接などがお勧めです。
風のある環境の場合、シールドガスが吹き飛ばされてしまい使えないため、風に強い性質を持った溶接方法を選択します。
・屋内作業の場合・・・ガスシールド溶接がお勧めです。
材質による選び方
・アルミニウム・・・融点が低いため、TIG溶接やMIG溶接がお勧めです。
・ステンレス・・・・炭酸ガスに反応するため、TIG溶接やMIG溶接がお勧めです。
・鉄・・・・・・・・どの溶接方法も利用できます。
■まとめ
溶接工事の種類や特徴、ニーズに応じた選択方法について解説しました。
製缶工事において、優れた品質の製品を作るためには、溶接を含む最適な工法を選択することが重要です。
製缶工事を依頼する場合は、熟練した溶接技術を持った職人や多数の実績を持った豊富で信頼のおける業者選びが不可欠です。ぜひ一度、大阪太平クリエイトまでご相談ください。
大阪太平クリエイトでは、豊富な施工実績に基づいて幅広いニーズに合わせた工事が可能です。希望する用途、形状と素材の特性をマッチングして提案や、ご予算に合わせて、必要な板厚や加工方法の提案を致します。さらに、鉄板やステンレスの仕入れ、施工、組み立ての全てを全てお任せいただくことができるので安心です。
大阪太平クリエイトは、工場やプラントにおける機械器具設置工事・配管工事・製缶工事を行っている会社です。機械の設置からメンテナンスまで、ワンストップで幅広く対応し、オーバーホールも手掛けています。町工場から大規模な工場まで、幅広い施設の工事に対応可能です。
人材育成の一環として資格取得に力を入れており、溶接に関する資格を持つ経験豊富な職人が多数在籍。高い溶接技術を用いて、タンクの液漏れ防止など工場の安心・安全を守りながら、高品質なサービスをお届けしています。ワンストップ体制を活かしたスピード感のある対応ができるのも強みです。
モットーは「できないと言わない」こと! 常にお客様に寄り添い、どのような工事にも対応し、ご要望を最大限に反映させた施工を行います。製缶工事をご検討の際は、ぜひ大阪太平クリエイトにご相談ください。
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