アーク溶接の作業手順や注意点を紹介! 施工不良や事故を防ぐためのポイントを押さえよう


皆さんこんにちは。大阪府大阪市を拠点に、機械器具設置工事・配管工事・製缶工事を手掛けている株式会社大阪太平クリエイトです。


弊社では、工事の際に溶接作業を行うことが多く、状況に応じた溶接方法を選択しています。中でも、特に行う機会が多いのが「アーク溶接」です。施工不良や事故を防ぐためにも、アーク溶接はしっかりと準備を整え、正しい手順を守って行う必要があります。

ここでは、アーク溶接の作業手順や注意点について解説します。




■アーク溶接の基礎知識



溶接とは、2つ以上の金属部材(母材)の接合部に熱や圧力をかけ、必要があれば溶加材を加えて、部材を接合する技術です。製造業や建設業においては必要不可欠な作業ですが、十分な強度と見た目の美しさを実現するためには、高い技術力が求められます。


また、溶接はいくつかの種類に分けられ、主な方法としては「融接」「圧接」「ろう接」の3種類があります。最も一般的な融接は、部材の接合面に熱を加え、溶かして接合する方法です。圧接は、接合部にプレス機などで圧力を加えて接合します。ろう接は、接合する部材そのものは溶かさず、それよりも溶ける温度が低い溶加剤を溶かし、糊のように使って接合します。


そして、融接の中でも代表的なものが、アーク放電を利用した「アーク溶接」です。アーク溶接は、電極となる溶接棒と部材との間でアーク放電を発生させ、最大で約20,000℃にも達する高熱で金属を融解・接合します。電気が流れるものなら大抵の部材に使用でき、手軽に高強度の溶接ができる汎用性の高さが大きなメリットです。


なお、アーク溶接は使用する溶接棒(電極)が溶ける「消極電極式溶接」と、溶けない「非消耗電極式溶接」に大きく分けられます。その他にもいろいろな種類に分けられ、状況に合わせて使い分ける必要があります。


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■アーク溶接の作業手順



安全かつ高品質なアーク溶接を行うためには、正しい作業手順を守ることが何よりも重要です。アーク溶接の基本的な作業手順をご紹介します。



1.安全確認

まずは、足元や周囲に燃えやすいもの・火気厳禁のものがないかを確認します。また、周囲に他の作業者がいないかどうかも必ずチェックします。



2.準備

アーク溶接機に各ケーブルを接続し、溶接棒を持って電源を入れ、電流を発生させます。



3.アークスタート

溶接棒を母材の溶接したい部分に当て、数回軽く叩くと「ボー」という音が出て、アークが発生します。これを「アークスタート」といいます。



4.溶接

アークの熱で金属を溶かして溶接します。作業は完成形をイメージしつつ、溶接している部位が均一に溶けていることを常に確認しながら行います。できる限り体を固定し、安定した姿勢を保つことも大切です。



5.処理

溶接後は、必要に応じて表面を磨いたり、サビ止めを塗ったりといった処理を行います。また、ペンキで塗装することもあります。これらの処理がすべて終わったら溶接完了です。




■施工不良や事故をなくすために! 溶接作業をする際の注意点



ここまで見てきたように、アーク溶接はとても高度な技術を要求される作業です。強い光と熱により危険も伴い、ちょっとしたミスから労働災害につながるケースも少なくありません。そこで、施工不良や事故をなくすための注意点を確認しておきましょう。



◯状況に合った溶接方法や溶接機を使用する

一口にアーク溶接といってもさまざまな種類があり、母材や溶接の目的も毎回のように異なります。作業の効率や品質、安全性を高めるためには、シーンに適した溶接方法と溶接機を採用するのが原則です。


たとえば、アーク溶接に使用する機材には、アーク溶接機や被覆アーク溶接機、MAG溶接機、TIG溶接機、MIG溶接機といった種類があります。それぞれの特徴をよく理解し、最適な溶接機を選んで使用すると、効率よく作業を進めることができます。


》TIGとMIG溶接の違いは?溶接の種類や使い分け方を解説!



◯適切な装備を着用し、安全管理を徹底する

強い光と熱が発生するアーク溶接は、一歩間違うと死亡事故にもつながるリスクがあります。怪我や事故を防止するためには、たとえ短時間の作業であっても決して油断してはいけません。作業服・革手袋・革エプロン・遮光溶接ヘルメットといった装備を着用し、安全管理を徹底することが大切です。


また、具体的にどのような危険があるのか、それらの原因や対処法は何なのかを理解しておくと、事故の発生確率を大きく低下させることができます。主な危険因子を確認しておきましょう。


・アーク光・スパッタ

アーク溶接の際には強烈なアーク光が発生するのに加え、金属からはスパッタ(細かい金属や鉱物の粒)が飛び散ります。アーク光には強い紫外線と赤外線が含まれ、皮膚や目に直接当たると、急性電気性眼炎や白内障といった障害を引き起こすおそれがあります。溶接作業を行う時は必ず保護面を着用し、有害な光やスパッタから顔や目を保護する必要があります。


・ヒューム

ヒュームとは、溶接の高熱によって発生した金属蒸気が空気中で冷却され、細かい粒子となったものを指します。ヒュームを吸い込み続けると肺に溜まり、肺の機能を低下させる「じん肺」を引き起こします。目に見えにくい現象ですが、非常に危険です。


ヒューム対策として、溶接作業中は必ず防塵マスクを着用し、屋内で作業をする時は換気を徹底します。また、事業者は溶接作業者に対し、定期的に健康診断を受けさせる義務があります。


・感電

アークの出力電流は5A~1000A、出力電圧は8V~40Vもあります。人が導電部に触れて感電すると死亡するおそれもあるため、感電対策は必須です。


基本的な対策としては、作業前に溶接機の電源スイッチの位置を確認しておき、作業の中断終了時は必ず電源を切るようにします。また、素手や濡れた状態で溶接機に触れてはいけません。汗で作業着や手袋が濡れた状態で触れて感電死した事例もあります。絶縁性の安全靴や保護手袋、作業着を着用し、常に乾いた状態で作業することが大切です。


・火災・爆発

アークは最大約20,000℃にも達するのに加え、5m〜10mもの広範囲に火花やスパッタが散るため、周囲に可燃物があると火災・爆発につながるおそれがあります。アーク溶接を行う際は、周囲を整理整頓して可燃物を撤去し、状況に応じて防炎シートを設置するといった防火対策が必要不可欠です。


もちろん作業者は、耐火性能のある作業着や手袋を着用します。そして、万が一火災が発生した時に迅速に対応できるよう、消火器や消火栓といった消火設備の位置も事前に確認しておきます。




■要注意! 溶接で発生する可能性のある施工不良



準備を整え、基本的な手順を守って溶接作業を行っていても、施工不良が発生することはしばしばあります。施工不良を防ぐためには、発生しうる施工不良の種類や、その原因と対処法を理解しておくことが大切です。主な施工不良の種類と原因、対処法をご紹介します。



◯オーバーラップ/アンダーカット

オーバーラップは、溶接の際に母材の表面に金属があふれ出て、そのまま冷えて固まってしまう施工不良です。電流の不足や溶接速度の遅さにより、溶着する金属量が増えることで発生します。


また、アンダーカットとは、主に溶接箇所の横部分の母材がえぐれ、母材表面よりもへこんだ溝ができてしまう施工不良です。電流の流し過ぎや溶接速度が速すぎることで発生し、オーバーラップとは逆の現象だといえます。オーバーラップ・アンダーカットともに、電流や溶接速度、その他溶接条件の見直しが有効な対策です。



◯高温割れ

高温割れは文字通り、溶接部位が高温状態にある時に割れてしまう現象です。最も多いのは「凝固割れ」という現象で、溶接された金属が冷却・収縮する際、そのひずみに耐えきれないことで発生します。その他に「液化割れ」や「延性低下割れ」といった種類もあります。


高温割れの原因は、母材に含まれる硫黄やリンといった成分の組成が不均一になっているために、部位ごとの凝固温度の差が大きく開いてしまうことなどです。高温割れが発生した時は、硫黄やリンの含有量を減らしたり、溶接速度を低下させたりすることで対応します。



◯低温割れ

低温割れは高温割れとは逆に、溶接後の金属において、200℃~300℃より下の比較的低温の場所で発生する割れです。溶接部の急熱・急冷による硬化や、溶接部に侵入した水素の拡散、溶接部の収縮時にかかる応力など、複数の要因の相乗作用によって発生します。


中でも、溶接後に長時間経過してから発生する「遅れ割れ」が厄介です。低温割れを防ぐためには、溶接中に侵入する水素の低減や、余熱を利用した冷却速度の調整といった対策を取ります。




■まとめ



アーク溶接は、正しい作業手順を守って初めて、高い強度と美しい仕上がりを両立させた施工ができます。準備不足や作業手順のミスがあれば、時として大きな事故を引き起こし、労働災害や設備の損壊につながりかねません。アーク溶接を伴う工事を依頼する時は、高い技術力を持つ会社を選ぶことが大切です。まずは、実績豊富な専門業者を調べて相談してみましょう。




■大阪で溶接をお考えなら、高い溶接技術を持つ大阪太平クリエイトにお任せください!



大阪太平クリエイトは、工場プラントにおける機械器具設置工事・配管工事・製缶工事を行っている会社です。これまで大手企業や有名テーマパークなどの施工実績があり、多くのお客様からの信頼を獲得してきました。現場は食品工場・化学工場といったクリーンな環境が求められる施設や、製鉄所、焼却場などを中心に、町工場から大規模なプラントまでさまざまな規模の現場に対応しています。


弊社は人材育成の一環として資格取得に力を入れており、溶接に関する資格を持つ経験豊富な職人が多数在籍しているのが強みです。高い溶接技術を用いて、タンクの液漏れ防止など工場の安心・安全を守りながら、高品質なサービスをご提供しています。


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